2005年06月05日
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1. 東京湾に残された「自然の宝庫」にも危惧すべき変化 盤洲干潟の観察会 [ シビックアクション千葉 ] 2005年06月14日 16:26
梅雨の中休みとなった6月12日、シビックアクション千葉は、会員の一人で自然観察指導員の資格をもつ宋石林さんの案内で、盤洲干潟の観察会を行いました。盤洲干潟は木更津市の北側に位置する、小櫃(おびつ)川河口に円弧状に発達した東京湾唯一の自然干潟です。
1,400haの広大な干潟中心部の小櫃川河口部は、後浜・前浜とそろった東京湾の干潟の原風景を残しています。宋さんは春からほぼ毎週この干潟を訪れて、近くに建設されたホテルから出る温廃水が、干潟砂浜の最前線に群生するシオクグ(カヤツリグサ科)の生育にどのような影響を与えているか調査しています。
観察に適した干潮時である11時に現地に集合した参加者は、クリーク(水路)に沿って干潟に向かいました。まず目にとびこんできたのは、砂質の干潟の上を動き回る蟹の大群です。穴から頭をのぞかせ、まるでダンスでも踊っているようにハサミを開閉するチゴガニ。その回りでチゴガニよりひとまわりも大きいアシハラガニが縦横無尽に走り回っています。こうした光景をはじめてみた参加者から「ワーッ」と歓声があがりました。
蟹を踏まないように注意しながら進むと、調査しているシオクグが群生する地点に到着しました。「シオクグは昔は乾燥して漁網の材料にしていました。ここのシオクグは先端が枯れていて、途中にあったもの比べて成長も悪い。花をつけた形跡もない。その原因を独自に調べている最中です」と説明する宋さんは、地中に温度計を指してデータを採取します。
そのまわりには千葉県がレッドデータに指定しているハママツナが見られました。遠浅の干潟を沖の方に歩きながら、今度は貝類を観察します。小さなホソウミニナを至るところで見ることができました。サキグロタマツメタガイを手にした宋さんが、「この貝は外来種でアサリの天敵です。最近増え過ぎて困っていると聞きます」と説明。
最後にアイアシやヨシが背丈まで伸びた道を抜けると、カワウが数百羽も繁殖している場所に到着し、また参加者から歓声があがります。
「この場所は新日鉄の浸透実験池の跡地で、浜離宮を追われたカワウが住み着いたと聞いています」と宋さん。「ヒッチコックの映画みたいだな〜」という参加者の感想のように、一見恐いほどの数だが、これだけを養う豊かな自然が盤洲干潟にはあることを実感させる光景でもありました。
参加者は、高速道路や臨海工場地帯など開発が進む東京湾に残された、豊かな生態系の宝庫を守ることを確認しあって観察会を終えました。
シビックアクション千葉では、今後も盤洲干潟の観察会を開催していきますので、参加ご希望の方は電話・メールでご連絡下さい。